読書:スタニスワフ・レム『ソラリス』

ポーランド人のレムによる、異星人との接触を扱ったSF小説。この異星人は、赤い月と青い月が交互に照らす惑星ソラリスを覆う海の姿をしている。人類はこの異星人を発見して以来、長い年月をかけて接触を試みてきたのだった。しかしソラリスに反応はない。異星人との交流を求めて遥か宇宙にまで飛び出した人類だったが、宇宙は人類の想像を越える不可解さに満ちていた。
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読書:A・クレピネヴィッチ、B・ワッツ 『帝国の参謀―アンドリュー・マーシャルと米国の軍事戦略』

キューブリックの名作『博士の異常な愛情』の舞台であるBRAND Corporationは、ランド研究所をモデルにしていると言われる

加藤陽子さんの『戦争まで』で言及されていた本作。戦略家として著名なマーシャルの人物伝の体裁をした、アメリカ国防面から見直す戦後史、といったところか。序文でも、国家安全保障と国防戦略に対する発想・構想の発展がテーマとして宣言されている(p4-5)。戦闘機や米国国防組織に詳しくないと、少し退屈かもしれない。

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読書:濱口桂一郎『若者と労働』

いまでは通俗化した感のある「ジョブ型・メンバーシップ型」という言葉も、私の身の周りでは、濱口氏の本意から乖離した意味で使われる事例が散見される。用語の乱用は避けたいところだが、日本企業の風土を理解する上で格好の視座を与えてくれる。本書は学校―会社のトランジションを主題とする。

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翻訳:トマス・クーン 『科学革命の構造』ガーディアン紙「ベスト・ノンフィクション100」

 

https://www.theguardian.com/books/2016/jun/20/100-best-nonfiction-books-all-time-thomas-s-kuhn-structure-of-scientific-revolutions-paradigm-shift

(以下訳文)

トマス・クーンは科学革命という概念を考案したわけではないが、そこに特別な意味合いを持たせた「パラダイムシフト」というフレーズを作り出し、この上ない賛辞を受けるほど評判が良かった。ニューヨーカー紙に風刺漫画が4作(1974年から2009年まで)も載ったほどだ。

最初の漫画の内容はこうだ。マンハッタンのカクテルパーティにて、ベルボトムを履いた若い女性が禿げかかった人物をこういう風に褒める。「すごいですね、ガーストンさん!あなたはパラダイムという言葉を現実世界で使った初めての人ですよ」

科学の理解や、科学史の合理的な解釈として支配的な考えに驚くべき影響を与えた点で、『科学革命の構造』はこうした一連の評価に値する。(この本の散文は時にわかりにくいことはあるが)

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翻訳:リチャード・ドーキンス 『利己的な遺伝子』 ガーディアン紙「ベスト・ノンフィクション100」

ご無沙汰していたブログ更新です。今回はガーディアン紙の特集で面白いモノがあったので、そちらから翻訳しました。

ドーキンスの本作は、大学生(特に理系)なら一度はチャレンジしてみたことがあるでしょう。どちらかというと生物学に疎い私でも、SFにはどっぷりはまっており、その延長で『利己的な遺伝子』を読むと、あら不思議、ディストピア風な世界観が待ち受けているではないですか(もちろん価値観をこの本に持ち込むのはナンセンスなのは承知してますが……)。

ソラリス』と『Brave New World』のあいだに収めているような読者を受け入れてくれるのかはわかりませんが、あまり難しいことは考えずに、ダーウィニズムとの位置関係を理解するため書評を翻訳しています。誤訳などあったら指摘していただけるとありがたいです。

(以下翻訳)

The 100 best nonfiction books: No 10 – The Selfish Gene by Richard Dawkins

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読書:カール・シュミット『政治神学』

ゼミ向けに作成したレジュメを掘り出したので、更新の途絶えていたブログにアップしておく。友-敵の理論が有名なシュミットだが、本書も政治の本質を突き詰めていくスタイルであり、『政治的なものの概念』と併せて読みたい。初学者・後学者のために…

主権の定義

主権者とは、例外状況にかんして〔ママ〕決定をくだす者[p11] (さらに…)

旅行:山陽道自転車の旅 2日目

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その日の夜は高台の公園に野宿した。

ドッペルギャンガーのテントには、もちろん網戸(?)はついているのだけれど、

春秋に対応するためか、風があまり入り込まない高さにある。

さらに、その日は全く風も吹かない。ゆえに、テント内は蒸し風呂だった。くそあつい。

仕方ないので、近くのクーラーのガンガン効いたマクドで夜を明かそうと思った。

そしての次の日の早朝。

なぜかテントの中で眠ってる自分に気づく。やはりマック泊では体の疲れが取れない。

昨晩はあたりが真っ暗な状態でここに決めたので、テント周辺のことは知る由もない。

5時過ぎ、日が地平線から顔を出し始める時間帯、野宿場所の様子が少し把握できるようになる。

なんと近くに小学校があるではないか。なぜか中年男性が小学生を監禁したニュースが頭をよぎり、

これは早めに出発したほうがよさそうだと、せっせと片づけを済ませて、相生市を後にした。

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かすかに霧の立ち込める高取峠を登り切り、数分ごとにやってくる運送トラックに注意して、一気に滑り降りる。

峠から、溜めに溜めた位置エネルギーを解放する瞬間はちょっと言語化しにくい。

もちろん、このあと立ちはだかる兵庫県と岡山の県境にある帆坂峠の急峻さを知らないがために持てる感慨であった。

千種川をそばに朝の空気をおもいっきり味わう。ぽつぽつと御老体やランナーを見かけるようになる。

日が昇り切り、すっかり午前の様子。太陽が本気を出す前に岡山に行きたい。赤穂市街をぐいぐい突き進む。

さてgooglemapの示すルートに従えば、この帆坂峠とやらをクリアしなくちゃならないらしい。

もちろん考える暇などないのでさっさと峠のぼりをスタート。

最初はなだらかな上り坂で楽勝かと思っていたのだが、その上り坂が、長い。こういう消耗させるタイプ、苦手だ。

荷物も多いため、峠最高点数百メートル手前でさすがに手押しに。ここはでっかいトラックしか通らない。排気ガスすいまくり。

備前市街まで、これまた長い下り坂。しかし、時折アップを織り交ぜ、かつ道路の舗装が甘いところがあるので、素直に喜んではいけない。

 

吉井川あたりに到達したところで、にわか雨が降りだした。

目に見えて雲行きがあやしくなったかと思えば、斜めに突き刺さる豪雨である。しぶき雨、甚雨。

このころは台風が接近していた。その後の到着地である別府では、さほどであったが、兵庫の実家は暴風を忍んだとのこと。

通り雨であろうと見当をつけ、バス停で雨宿りした。後ろ窓から稲が乗り出すように顔を出し、蜘蛛の子が足元をうごめく。

屋根に跳ね返る重たい雨の音、1時間に二つの頻度の時刻表、荷物を這う蜘蛛を手ではらう自分の焦心。

30分しても、土砂降りはやみそうになかった。

時間が惜しいので出発した。上道駅あたりで雨は止んだ。